幻想怪奇短編集「魔法はつづく」感想

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オカルト・ホラー漫画の名手・オガツカヅオさん。その短編集「魔法はつづく」が、リイドカフェコミックスより待望の刊行です。

オガツカヅオさんは「りんたとさじ」「ことなかれ」など、ホラー漫画を中心に発表されているマンガ家さん(「ことなかれ」は星野茂樹さんとの共著)。

この短編集「魔法はつづく」でも、恐怖と幻想がないまぜになった不思議な空間に、読者をジワジワと引き込んでくれます。

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収録作

「魔法はつづく」は、下記のマンガを収録。

最後の「こくりまくれ」は、4本目「こくりまくり」の後日談的おまけマンガで、描き下ろし。その他は1996年初出の「魔法はつづく」以外、いずれも2000年代にオガツカヅオさんが発表してきた短編マンガに、加筆修正・再編集を加えたものです。

「魔法はつづく」オガツカヅオ
[引用:オガツカヅオ「魔法はつづく」より]

またリンクを貼った「こくりまくり」「しあわせになりませう」「よふさぎさま」の三作は、本単行本の編集を担当された「劇画狼」さんが主催する「エクストリームマンガ学園」にて、修正前のマンガが公開されています。

感想

ほっこりユーモアにあふれた話もあるが、どちらかと言えば、怖い話、不思議な話の多い短編集。例えていうならば、「世にも奇妙な物語」の不気味・不思議系のテイスト。

オガツカヅオさんの既作マンガから考えても、ざっくりオカルト・ホラー系統に入ると思うのですが、特筆すべきは血みどろやグロテスクな表現がほぼ無いこと。

それがわかっていても、ページをめくっていると「次に何が起こるのか…」とドキドキせずにはいられない作り。この雰囲気が、オガツカヅオ作品の何よりの魅力。

「魔法はつづく」オガツカヅオ
[引用:オガツカヅオ「魔法はつづく」より]

怖い・不思議な話なんだけど、サスペンス・ミステリー的な風味もあって、今読んでいる内容がホントなのか虚構なのかわからなくなってくる。トリッキーな物語構成がおもしろい。

なかにはラストでちょっと「ん?」となる短編もあるのだけれど、それも踏まえて自然と頭からページをめくり返したくなる、独特の魅力があります。

そんな「魔法はつづく」の各話。どの短編も読み応えがあるのですが、その中からいくつか、筆者が特に気に入った作品をご紹介。


「かえるのうた」
15年ぶりにあった父、その彼女、年の離れた弟と、カラオケボックスで時を過ごす主人公の女性。なぜか皆で「かえるのうた」を輪唱することに。しかし何かがズレていることに気づいた時…?

カラフルな扉絵が印象的、と思ったら、それもねじれた空間を演出する道具の1つだったり、また読み手の想像を手球に取るような、テクニカルな展開が楽しい一作。


「猫のような」
入院中のおばあちゃん。目が見えず、病室から一歩も出ないのに、外の世界を見てきたような素振り。その不思議な力に導かれる孫の少年。おばあちゃんの話していた場所には、いつも猫が。

猫に憑依している(らしい)おばあちゃんが、猫とシンクロしているかのような表現が秀逸。そしてラストはこれぞ怪奇マンガ。淡々と話が進むのだけれど、場面場面がなぜか心に残る不思議な一話。


「よふさぎさま」
小学生以来、夜のランニングが日課の女性。様々な形で現れる「よふさぎさま」に、人生のターニングポイントで出会う。運命の人に出会った時も、旧友と再会した時も、常に出会う「よふさぎさま」。そして今日も夜を走る彼女は―。

「魔法はつづく」オガツカヅオ
[引用:オガツカヅオ「魔法はつづく」より]

不思議な存在に見守られた?女性の人生がテンポよく、淡々と描かれる一作。「夜 走る女の行方を阻むもの」を超えて、彼女が行き着く先。ジワジワと心を侵食するラストに、ゾワゾワ来る。


というわけでオガツカヅオさんの短編集「魔法はつづく」。どのマンガも怖いんだけど、それだけじゃない、独特の「ドキドキ」を読者に与えてくれます。

絵もバツグンにうまいマンガ家さんなので、安心して読めるクオリティ。ぜひオガツカヅオさんの世界観を味わってください。怖おもしろいよ。

クラウドファンディングから生まれたインディーズ・ホラーコミック「ホラーコミックレザレクション」にも、オガツカヅオさんの短編「かぐやひこ」が収録されています。「魔法はつづく」が気に入った方は、こちらもぜひチェックしてみてください。

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