別に知らなくてもいいけれど、学ばなくても将来困ることは無いけれど、知っておくと「よりよい生き方」に繋がるかもしれない。そんな倫理学の言葉を伝える、一人の教師の物語。
雨瀬シオリ氏の漫画「ここは今から倫理です。」1巻のさっくりレビュー。
1分で読めるあらすじ
- 物語の中心となるのは、男女共学の高校で倫理学を受け持つ教師・高柳。
- 基本、一話完結形式の各話で主体となるのは、選択式である倫理学を受講する高校生たち。
- 生徒たちは、男女関係、いじめ、趣味、家族との生活など、様々な事柄について悩み・問題を抱えている。
- そんな生徒たちが持つ諸問題に、教師という立場から触れていく高柳。先人が遺した倫理学の教え・言葉を持って、アドバイスをしていく。
- ラストのセリフは「ではまた 倫理の時間に会いましょう」
「ここは今から倫理です。」1巻・レビュー
「教師が主役の学園漫画」と言えば、5教科を受け持つ担任教師や、保健室の先生(養護教諭)が主体となる作品がよくあるパターンだが、選択形式の副教科である「倫理学教師」をメインに据えているのが、漫画「ここは今から倫理です。」の特異なところ。
無表情で感情を表に表さない、ともすれば無気力ともとらえられそうな、クールな倫理学教師・高柳。第一話冒頭、教室でエッチな行為をしている生徒を見つけても、「真剣なお付き合いなら結構」と眉一つ動かさない。
それが彼のスタイルと言えばスタイルなんだけれども、じゃあ生徒に関心が無い、教育にも情熱が無い、かというと、そうじゃない。むしろ「逆」。
悩みを抱えていそうな生徒のことを気にかけ、時にアドバイスを送り、そして困った時には真っ先に駆けつける。その瞬間に、彼が見せる非常に人間らしい所作に、グワシッ!と心を掴まれてしまう。
この高柳に対する「ギャップ萌え」が、「ここは今から倫理です。」の醍醐味。そしてそこから畳み掛けるように発せられる、インテリジェンスあふれる倫理学の名言が、何ともカッコいい!これまでの「教師マンガ」とは異なる読後感を味わえる、ユニークな漫画。オススメである。
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