一年間、大阪で一般人として過ごせ―。裏社会で天才的な能力を発揮する殺し屋は、果たして平穏な生活を送ることができるのか?
実写映画も大ヒットした南勝久氏の漫画「ザ・ファブル」1巻のさっくりレビュー。ちなみに「ファブル」とは「寓話」の意。
1分で読めるあらすじ
- 「組織」に属し、超人的な能力を持つ殺しのプロ「ファブル」。
- 仕事を終えたあと、相棒の女性ドライバーと共にボスに呼び出される。
- 「今年は殺りすぎた。一年ほど休業してもぐる」と告げられ、組織が契約している大阪のヤクザの下で身を隠すことに。
- 条件は「トラブルは起こさない。プロの殺し屋として一般人になりきる」こと。
- かくして「アキラ」「ヨウコ」という偽名を与えられた二人は、兄妹という設定で一路大阪へ。
- しかし超人的な能力を持つファブル。知らず識らずトラブルを引き寄せてしまい…?
「ザ・ファブル」1巻レビュー
超人的な運動能力・格闘能力・射撃能力を駆使し、ターゲットである組事務所をたった一人で壊滅させる、という離れ業をのっけから披露するファブル。こらエライ殺伐とした漫画やで…
と思いきや、次のシーンではボス・相棒女性と炉端を囲む彼。相棒女性に「アツすぎる。ふ~~ふ~~してくれ!」と焼き魚を差し出す。そのギャップに何とも言えぬおかしみが。こらちょっと変わった漫画やで…!(笑)
そしてアキラ・ヨウコという「兄妹」となった二人。一般人として暮らすために、まずは不要な「道具」を処分するのだが、銃・弾など武器の隠し方に関する描写が本格的、いかにも「殺しのプロ」という感じで、非常に面白い。
かと思えば「自分の中の大阪弁のスイッチ」を入れるために、変顔で額を「トントン」と叩く、といったひょうきんな様子も見せるファブル。こんな物語の随所で見られるシリアスとコミカルの入れ替わりが、それまでの漫画には無いユニークさ。
途中、軽めのトラブルにあいつつも大阪に到着した二人は、「真黒組」の世話になることに。しかし「殺し屋」であるファブルの存在が気に食わない組の若頭。組員を使って探りを入れるが、「トラブルを起こすな」と命じられているファブルは、さて如何様に対処するのか―?
といった感じの「ザ・ファブル」。「殺しを禁じられ、一般人として過ごす殺し屋」という設定は、これまでのどんな裏社会漫画とも似ていない、独特の面白みがある。一度読むと続きが気になって仕方の無い、不思議な魅力を持つ漫画である。
コメント