【感想】「わたしの人形は良い人形」-古典的名作ホラーマンガ。

この記事は約2分で読めます。

山岸凉子「わたしの人形は良い人形」の感想です。本書の出版は1997年。表題作他、短編を4つ収録しているのですが、一番古いもので1971年の初出。もう「古典的」と言っていいホラーコミックです。タイトル、そして表紙の日本人形から和風ホラー感がプンプン漂って非常にいい感じです。

スポンサーリンク

あらすじ

昭和21年、ある少女が不慮の事故で亡くなってしまう。そして本来その少女とともに荼毘に付されるはずだった人形は、とある事情から焼かれずにそのまま残る。そして時は流れて昭和60年。事故の関係者の係累である高校生の手元に人形が渡り、そして怪異が始まる…。(「わたしの人形は良い人形」)

感想

「日出処の天子」や「舞姫 テレプシコーラ」で有名な山岸凉子先生。現在も絶賛活躍中ですが、氏の作品としては大分古い部類に入るのでしょう。収録作は「千引きの石(いわ)(1984年)」「汐の声(1982年)」「ネジの叫び(1971年)」「わたしの人形は良い人形(1986年)」の4本。一番新しい「わたしの人形~」でももう20年前の作品ですね。

各作品の掲載誌は「ASUKA」「りぼん」「ぶーけ」など。今となっては区分けに意味はないのかもしれませんが、ジャンル的には一応「少女マンガ」である本書。確かに唐突な描写や淡白なセリフ回し、そしてわかりやすいキャラクター造詣は、古きよき日の少女マンガそのものです。

しかしそこがまた風情があっていい!ホラー漫画は近年に至りすごく極端な描写が増えてきた、と個人的には感じるのですが、本書には情緒があるというか「ホラー」ではなく「心霊・怪奇」マンガと言った方が伝わりやすいでしょうか。どぎつい表現はほとんどなく、しかし物語の力で読者をじわじわと異世界の淵へ誘う、そんな空気が懐かしくも新しい。

表題作「わたしの人形は良い人形」は言うに及ばず、転校生が古い体育館にまつわる怪異を体験する「千引きの石」、オカルト番組の収録で幽霊屋敷に泊まりこみ、恐怖に遭遇するタレントの少女を描いた「汐の声」など、その他の作品も非常に良い味を出しています。

私は文庫版である本書を購入しましたが、「わたしの人形は良い人形」だけを読みたいのであれば、近年刊行された「わたしの人形は良い人形 (山岸凉子スペシャルセレクション 1) 」もあります。収録内容を見比べてお読みになってはいかがでしょうか。

コメント