田中相「その娘、武蔵」1巻の感想です。本エントリー更新時、講談社の「新・想像系コミック誌 ITAN」にて連載中です。田中相さんは「地上はポケットの中の庭」「千年万年りんごの子」を描かれた作家さん。この「その娘、武蔵」1巻の表紙、バレーボール片手におにぎりをかぶりつく主人公の姿が迫力あります。
あらすじ
体重6,000gで産まれた女の子は武蔵と名付けられ、その後エース選手として中学女子バレーを極める。しかしその優勝インタビューで、体罰でバレー部が無くなった高校への進学を宣言。バレーボールとの決別を選択する。そして晴れて高校へ入学した武蔵は気ままな生活を楽しむつもりだったが、同好会となったバレー部の3年生・律に目を付けられることに。「あなたの一年を私にちょうだい」律に迫られる武蔵は、バレー部への入部を賭けて彼女と勝負をすることに-!
感想
田中氏の独特な線で描かれるスポーツマンガ、しかも題材がバレーボールとのことでどんな雰囲気になるか楽しみにしていましたが、予想を上回るおもしろさでした。元気な武蔵を追いかけているうちに、ストーリーにぐいぐい引きこまれていきます。
身長182cmの元気少女である主人公・兼子武蔵はじめ、武蔵の家族、同級生のるな、そして3年生・律と双子の兄弟である史など、キャラクターも魅力的。皆いきいきと表情豊かで、読んでいるうちにおもわず自分も登場人物と同じような顔をしてしまいます。
本巻は武蔵が高校へ入学し、そして律との勝負、そしてその顛末までが描かれます。一度はレールから外れた主人公が再びバレーとの接点を見つけるのかどうか。スポーツものの始まりとしては王道とも言える展開ですが、田中氏の柔らかな線、そしてのびのびとした躍動感のあるキャラクターの動きがなんとも新鮮で引きこまれます。
本作の魅力はやはりなんといっても主人公・武蔵。身長182cm、元気の塊とも言える彼女が今後いかに跳躍するのか、そして部活・バレーに対する思いがどのように変化していくのか。これからの展開から目の離せない、注目の一作です。
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