【漫画さっくりレビュー】「ケッペキゲーマー」1巻

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あの日…あの暑い夏の日、アナタに出会えたから…今のボクがいる。

潔癖症で引きこもりの少年が、少し風変わりなeスポーツ選手と出会い、新たな一歩を踏み出していく。あまの氏の漫画「ケッペキゲーマー」1巻。

引きこもりを5年続けている青年、黒田公正。極度の強迫性障害(※1)、およびそこから来る潔癖症で、通常の生活が送れない。その彼のもとに、車椅子に乗ったピアカウンセラー(※2)・足立歩が現れる。

障害者に助けられることを情けなく感じ、思わず泣き出してしまう公正だが、それを「まぁ~…泣きたくなるよね~?(中略)あははははは♪」と笑い飛ばす歩。そして持ち込みの格闘ゲームを「口」で操作し、超絶なプレイを公正に見せつける

実はプロゲーマーであるという彼女は、「全ての人がゲームの前なら対等」であり、社会復帰にも最適だと考えている。そして初めての対戦プレイで、潔癖症である公正は歩に「触れ」て―。

…という「ケッペキゲーマー」の第一話。ビックリしたのは、予想以上に障害(※表記は作中より)やそれに対する人間の心理を、リアルに描いていること。公正が自分より弱い立場にある(と考える)車椅子の歩に助けられることに心理的な抵抗を感じる、という踏み込んだ描写に一瞬ギョッとする

が、この描写がとても大事で、それを経て公正と歩がヴァーチャル空間の中で初めて「触れ合う」シーンに、大きなインパクトが。それは歩の語る「ゲームの前なら人は対等」の証明であることを、読者に強く印象づける。

またゲーム内だけではなく、その後の物語において徐々に感じてくる彼らの存在感に、思わず「普通ってなんだろう?」と考えずにはいられない。1巻終盤では、公正にとって大きな転機となりそうな出来事が描かれるのだが、その顛末や如何に?


※1 自分の意思に反して不合理なイメージが頭に繰り返し浮かんできてしまう病気。(との説明が本にあった、という「ケッペキゲーマー」1巻P25、主人公のモノローグより)
※2 似たような境遇にある者同士が対等な立場で行われるカウンセリングと、その実践者のこと。(「ケッペキゲーマー」1巻P17より)

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