はるかなる過去にタイムスリップした現代の若者たちは、果たして過酷な世界で生き延びることができるのか?
そんな迫真のサバイバルを描く、森恒二氏の漫画「創世のタイガ」第1巻のレビュー。
主人公の大学生・タイガら人類学ゼミの仲間7人(男4:女3)が、卒論のネタ作りにとオーストラリア旅行へ。ワイナリー目指して平原?を歩いてると、巨大な洞窟を発見!さらに未発見の壁画を見つける!
しかしその時、謎の地震が洞窟に発生。命からがら抜け出すと、そこは平原ではなく鬱蒼とした原生林。さらに見たこともない巨大な生物が蠢いていた!
…という出だしの漫画「創世のタイガ」。未知の世界へと飛ばされた若者たちが、生き延びるために命がけのサバイバルにチャレンジしていく姿が描かれていく。導入部はSF的だが、タイムスリップを主題にしたSFというよりは、過酷な世界で生き延びるサバイバルを主眼に置いた物語。
タイガたちが足を踏み入れた世界は、マンモスやカリコテリウム(巨大なウマ+ゴリラのような生き物)など、現代では既に絶滅した生物が闊歩する「更新世」(約258万年前~約1万年前の期間)。
そこには大型の肉食獣もおり、さらにタイガたちにとって深刻な脅威となるのは、「ネアンデルタール人」と「ホモサピエンス」、つまり人類の祖先。しかし両者が争う姿を見たタイガたちは、その争いに間違いなく巻き込まれることを確信。「僕らは最も危険な時代に来てしまったんだ!!!」
そんな訳のわからない状況の中で、一人成長を見せていくのが、主人公のタイガ。「何の主人公にもなれな凡庸な人生」に生きる意味を見いだせない彼が、「殺らなければ殺られる」世界の中で、徐々に「人間としての本能」を開花させていく様が面白い。
そしてタイトルが「創世のタイガ」ということで、果たして彼が後の世に影響を与える存在となっていくのか?というのが気になるところ。現代の常識が一切通用しない世界で、タイガと仲間たちは果たして生き延びることができるのか?緊迫感あふれるサバイバル・漫画。
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