うぐいす祥子氏がヤングジャンプ増刊「アオハル」に連載していた表題作「フロイトシュテインの双子」3話他、書き下ろしを含む全8話の短編集(「フロイトシュテインの双子」第3話は書き下ろし)の感想です。表紙で方やぬいぐるみ、かたやしゃれこうべを携える双子が何とも不気味。
あらすじ
大学生・桜井は、とある屋敷で中学二年生の双子の家庭教師を担当することに。双子の兄妹カケルとミチルは容姿端麗だが、何やら妖しげな雰囲気を醸し出す。無邪気ともいえるそのふるまいに苦笑する桜井だが、やがて双子はその本性をあらわし…。(表題作「フロイトシュテインの双子」)
感想
実におどろおどろしい恐怖体験の連続で、本当に怖いホラー漫画だった…と書きたいところですが、予想とちょっと違った。いや、実におもしろい(笑)。私はホラーは苦手なわけではないけど超得意、というわけでも無いレベル。正直この本を買う前はちょっと躊躇したのですが、買って良かった(^^)。純粋に恐怖を楽しむホラーというより、ちょっとお笑い要素も入ったホラー・コメディと言ったところでしょうか。作風としては伊藤潤二氏のコメディ寄りの作品に近いかも。
青春とヒロインをテーマにした「アオハル」に掲載されたこの作品、「健全な読者から苦情や批判が多くきた」とは、あとがきにおけるうぐいす氏の弁。そのせいでしょうか「フロイトシュテインの双子」の第三話のみ書き下ろしになっているというのが興味深い。そしてその突き抜けたシュールな内容。怖いを通り越して大笑い。とても楽しめました。
そしてもう一つのイチオシ作品は「星空パルス」。「エイリアンからのメッセージを受信した!」という電波なオヤジに連れられて、宇宙人を迎えに行った息子が見たものは…、というお話。これもちゃんとホラーしてるのだけど、フタを開けてみると…とっても楽しい作品でした(笑)。
ホラーって怖がらすにしても笑わすにしてもさじ加減が難しいと思うのですが、実にその境界をバランスよく描くうぐいす氏。他の作品も読みたくなってしまいました。この「フロイトシュテインの双子」はジャンルとしてはやはりホラーに入る作品なので、それなりの描写もあります。万人にオススメはしませんが、もし手に取る機会がありましたらおっかなびっくり読んでみてください。楽しめること請け合いの作品ですよ。
コメント